子どもの描画から学ぶ

  はじめに 
 

わたしは、10年間養護学校で子どもたちとたのしく生活してきた。普通学校では見られなかった子ども達 の生き生きした 眼、うれしいときは心から喜ぶ素直な子ども達に出会うことができ充実した時をおくることができた。とくにその中でも絵を描く子ども達に学ぶことが多く、絵画の原点がそこにあるのではとずっと気になっていた。特にその中でも松本養護学校時代中学生のMくんが毎日描く絵日記の中で四角い紙に大きな枠を描いていた姿、そして伊那養護学校高等部陶芸班で20枚、30枚のお皿に単純ではあるが丸や四角、三角など,とても肩の荷が降りたようなふっとした線で何枚でも描いている子ども達の姿に心がひかれた。そういう子どもたちの無垢な絵を描く行為にこそ学ぶべきところが多くあるだろうと今まで考えてきた。
多くの子どもの描画に触れ、子どもの描画についての論文や本、そして現代美術、現代思想の本を読む中で私が気になって養護学校の子ども達の姿は、現代の絵画の問題に通じるし、現代思想、教育にも通じる大きな課題を含んでいたことが見えてきた。また養護学校で、子ども達が実際に描く姿を詳細に観察することで新たに見えてくることも多くあった。ここで(1)子どもの絵に表れる枠と現代絵画の枠(2)なぐり描きからマルを閉じる段階の子どもの描画活動についての観察と描画活動の意味 以上2点について論じてみたい。

       子どもの絵に表れる枠について  



   枠と円を閉じることについて

  
  


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