しんかんそう 新刊本のつぶやき 一覧表に戻る



書 名
作者 発行元 初版年

つぶやき 2001.11.15

お薦め度

しりとりのだいすきなおうさま
 中村翔子 作
 はた こうしろう 絵
すずき出版 2001.6

なんでもしりとりの順番になっていないと気がすまないおうさま。食事の準備にけらいは毎日たいへん。その上、最後のデザートはおうさまの大好きなプリンで終わらなきゃいけない。
 「しりとり」はことばを覚えてきた子どもが必ずやる遊び。ルールがわかるのは3歳ぐらいからだけど、ちょっと手助けしてあげると、小さい子でも楽しい。そんな「しりとり」好きには格好の絵本。読んでも楽しいけど、絵をみてそれをことばで言ってみると、ちゃんとしりとりになっていて、「ふふふ」と笑いが起こる。だから、字の読めない子でも、読んだ後一人で絵をみてつぶやいていました。
 でも、表紙の絵の「まり」と「こけし」は最近の家庭にはない代物かも。子どもは「これなあに?」。日本の昔からのおもちゃの名前も、子どもに伝えていかないと死語になってしまいます。
★★★★
わにのスワニー
 しまぶくろさんとあそぶの巻
中川ひろたか 作
あべ 弘士 絵

講談社 2001.9
 絵本といっても、年長か小学生低学年にうけそうな本。なんといっても「しまぶくろさん」の「すっとぼけた」反応がおかしすぎる。スワニーとのやりとりもおもしろいけど、その後の日記形式のつぶやきが、また笑える。「だるまさんがころんだ」の話は、最近子ども自身が遊んでいるので、よけいに身近な話として楽しんでいました。「だるまさんはころばないんじゃ」というしまぶくろさんのつぶやきには、大人も大受けでした。 ★★★

書 名
作者 発行元 初版年

つぶやき 2001.10.23

お薦め度

ことばであそぼ3
 ぷちぷち
作:ひろかわさえこ
アリス館 2000.6
(ちょっと新刊でないけど)

子どもは擬音語が大好き。この本はストーリーの説明が何もなく、擬音語や動きを表わすことばだけなのに、緑色のたねが「ぷちっ」とはじけ出てから、土に落ちて芽が出るまでのお話だとわかるところがすごい。そして、ことばをしゃべれない赤ちゃんから幼児まで、その楽しいリズムに夢中になれてしまう。
 緑色のたねの絵も単純でいて表情が豊か。たねの顔でも、こんなにいろいろあるんだなぁと、ことばと一緒に一つずつ眺めてしまう。ひらがなを覚え始めた子どもでも、単語だけなので、一人で読んで笑っています。本文だけでなく、表紙や裏表紙にもたくさんの顔とことばがあり、余韻を楽しめるのもうれしい。
★★★★★
書 名
作者 発行元 初版年
つぶやき 2001.7.27 お薦め度
おおきくなったらなんになる?

寮 美千子 作
はた こうしろう 絵

すずき出版 2001.5
 「おおきくなったら なんになる?」というセリフは、子どもが大人から聞かれるセリフのひとつでしょう。この本では子どもがタンポポやめだかに聞きます。でも、その願いはムリかも。でもクレヨンの願いがかなって、広い野原と海ができたら、みんなの願いがかないそう。
絵を見て、海外の作品かなと思ったほど。色彩が単純だけどポップでわかりやすい絵。短い文章が、2才児にもわかりやすく、リズム良く読み進められます。水族館に行ったばかりの子どもはたくさんの魚が泳ぐページをみて「観たのとおんなじ」と喜んでいました。
★★
ねこがいっぴきおりました・・・

ジョン&アン・ハセット 作
今江 祥智&遠藤 育枝 訳

BL出版  2001.4
 絵がとってもすてきな絵本。「ナナ・クインビィさんが窓のそとをながめると、ねこがいっぴき、木のてっぺんにとまっておりました。」ではじまり、ページを追うごとにねこが増えていきます。その度に、ナナ・クインビィさんはあちことに電話して、助けを求めますが、断られてしまいます。子どもは、ねこの数を数えたり、電話した先の対応にクスクス笑ったりと、いろいろな楽しみ方をしていました。リズム感の良い文章も魅力です。ただ、言葉が少し難しく、5才児は「銀行強盗って何?「ねこなでごえって何?」と質問。小学生のほうが、この本をすんなり楽しめるかもしれません。 ★★

書 名
作者 発行元 初版年

つぶやき 2001.5.24

お薦め度

かっくん
  どうしてボクだけしかくいの?

クリスチャン・メルベイユ 文・
ジョス・ゴフィン 絵
乙武洋匡 訳

講談社 2001.4
 この本は『五体不満足』を書いた乙武さんが訳しています。丸い体の家族に四角い子どもが生まれ、一緒に遊べない悩みを抱えるのですが、四角い「かっくん」の長所がわかり仲良しになれます。大人は「乙武さん訳」という先入観で読んでしまいますが、そんなことは関係なく、子どもはこの本が気に入っています。シンプルだけどかわいらしい絵と、わかりやすい文章で、ちゃんと子どもの心をひきつけている絵本です。読み終わった後、「じゃあ、今度三角君が来たら『さっくん』にしよう」と子どもが言っていました。どんなに分厚い本で「世の中にはいろいろな人がいる。みんなと仲良くね」と説明するより、大事な何かを感じ取ってくれる気がします。 ★★★★★
おとうさんがいちばん

バレリー・ゴルバチョフ 作
那須田 淳 訳

講談社  2001.3
学校で書いた絵をほめられて、得意に帰るこぐまのペーター。いろんな人に見せて、ほめてもらおうとするのですが、なんだか、ほめられ方が気に入らない。でも、おとうさんはちゃんとペーターの納得するほめ方をしてくれます。親にしてみたら、どのほめ方も「いいじゃない」と感じるのですが、子どもは微妙。改めて、親の考え方と子どもの考え方は違うのだと気づかせてくれる本です。ペーターが「えっそんなことできないよ。」と言う度に、聞いている子どもも「そうだそうだ」とうなづいていました。 ★★★


書 名
作者 発行元 初版年

つぶやき 2001.5.10

お薦め度

ごめんねともだち

内田麟太郎 作・ 降矢なな絵 

偕成社 2001.3
 幼児から小学生までに人気があった『ともだちや』のシリーズ第4作。今回は「けんかと仲直り」がテーマ。友だちのオオカミとキツネはゲームをして、負けたオオカミが「いんちきだ!」と叫んでしまい、ケンカ別れ。どうやって「ごめん」を言おう、どうやったらまた前のように遊べるか、二人とも悩みます。5才児になった息子にも覚えがあるのか、何度も何度も持ってきては「読んで」と言います。幼い子ども達にも恥ずかしかったり、勇気がなくて言えない一言というのが徐々に増えてくる時期。真実をついているからこそ、また読みたくなるのでしょう。
この本では仲直りの方法が「偶然」の出来事で、親としてはなんとなく物足りないのですが、この本の中心はケンカしたときの気持ちで、きっと、本当の仲直りの仕方は、まだ先のお話なのかもしれません。
★★★★
キスなんかしないよ!

フィリス・ルート 文 ウィル・ヒレンブランド 絵 こだま ともこ 訳

徳間書店  2001.2
「ルーエラ ルエラ あまいミルクを だしとくれ おなかを すかせた こどもたち ほかほか ミルクをまってるよ (略)」不思議な魔法の歌を歌い、ルエラにキスをすると、次の日もたくさんのミルクを出してくれる魔法の牛。知りたがりやのアンナリーサは、かあさんの見ていないすきにしぼりにいきます。でもミルクをしぼったあとのキスはしません。そのせいで、牛はミルクを出さなくなり大さわぎ。
魔法の呪文のような「ルーエラ ルエラ〜」の歌が心地よく、牧歌的な絵がお話とピッタリ。「キスしなさい」というみんなの声にアンナリーサが「ぜーったいに いや!」と何度も言うので、話を聞いている子どもも「ぜーったいに いや!」と気持ちを込めて合唱していました。
★★★


書 名
作者 発行元 初版年

つぶやき 2001.3.25

お薦め度

あったまろう

もろはら じろう 作・絵

すずき出版 2001.1
 温泉であったまるのは、大人だけでなく子どももきっと「きもちい」はず。だから、この絵本の「あったまろう」という雰囲気は親子で共感できそう。さむ〜い日、うさぎさんがおんせんを見つけたけど、そこには先客がいてなかなか入れない。でも、座ったあたたかい石を動かしてみると、そこからお湯がでてきて・・・。「いじわる」と「みんななかよく」を覚え始めた2歳の娘も「ふふふふ」とニコニコしながら、お話を聞いています。読み終わった後、親子でお風呂に入りたくなるような絵本。 ★★★


書 名
作者 発行元 初版年

つぶやき 2001.2.2

お薦め度

おにはうち!

中川ひろたか 文・村上康成 絵

童心社 2000.11
 子どもが小さいうちは、豆まきなどの伝統行事に接する機会が増えます。自分の子どもの頃を思い出すことも出来て、なんだか懐かしい気分。この本は幼稚園での豆まきの様子が「におくん」というお友達とともに描かれていて、「くすっ」と笑えるお話。先生の節分の説明も、子どもにわかりやすくてちょうどいい長さでした。何度か読むうちに、息子は赤い顔のにおくんの、帽子の下からちょっと見えるつのをみつけて、「におくん、つのがあるんだよね」と「発見」し、楽しんでいました。 ★★

書 名
作者 発行元 初版年

つぶやき 2000.11.18

お薦め度

ざぼんじいさんのかきのき

すとうあさえ 文 織茂恭子 絵

岩崎書店 2000.9
 「おいしいものは、ひとりじめしたい」という気持ちは誰でもありそう。ざぼんじいさんはそんな一人。甘い柿の実をわけてなんかあげません。かわりに、自分がいらない柿のへたをまあばあさんにあげます。がっかりするだろうと思ったら、まあばあさんは喜ぶ。意外な展開に、ざぼんじいさんは我を忘れて大変なことをしてしまう。
 意地悪なざぼんさんの顔が、最後の絵では心の変化が感じとれる顔となり、うれしくなります。裏表紙に柿の芽が出ている絵をみつけて、息子もホっとしたようでした。その後、柿を食べた息子は「この種まく〜。ざぼんじいさんの柿みたいに甘い柿ができるといいね。」と、柿の種を大事に箱に入れていました。
★★★
そらまめくんとめだかのこ

なかや みわ 作・絵

福音館書店 2000.9
  (1999.4 こどものとも)
 かわいらしいそらまめの絵が人気で、シリーズ化している本の2作目。グリーンピースやピーナッツともども、さやがベットとなっている。今回はこのベットを使ってめだかのこを助けるお話。大きなそらまめ君は大きなベッドが自慢だけど、他のまめのようには、そのベットを濡らしたくない。でも、困っているめだかをみてお友達と協力し合うことになります。
 友達とのかかわりが増えてきた子どもには、お友達どうし協力する姿が馴染みやすい。緑が基調の絵がやさしい雰囲気を出しています。
★★

書 名
作者 発行元 初版年

つぶやき 2000.9.9

お薦め度

やっぱりこうらはかめのもの

森町長子 作・絵

すずき出版 2000.6
 「かめのこうらが脱げたら」というところから発想されているのが、なんともユニーク。こうらを脱ぐと、かめも仰向けでお昼寝ができて、気持ちよさそう。その間にこうらに入る動物たち。でも、なかなか不便そう。4歳児はこうらに入った動物をみて「なんかへん」「飛べないんだよ。」とつぶやきながら、「やっぱりこうらはかめのものなんだ」を納得していました。色鉛筆で描かれたような絵が、独特の雰囲気を出しています。 ★★

書 名
作者 発行元 初版年

つぶやき 2000.8.1

お薦め度

ねずみさんのながいパン

多田 ヒロシ 作・絵

こぐま社 2000.6

 「みんなで食べるとおいしい、というのを描きたかった」と作者が言っているように、どのページも楽しそうに食事をしていて、1歳の子どもが喜んでページをめくっています。ねずみの歩く先にあるおうちをみせて「誰のおうち?」と聞くと、4歳児は得意そうに「らいおん!」とさけんでいて、親子で会話しながら読める本。たくさんいるねずみの食事風景は、一匹づつ表情があって、指をさしながら顔の違いを楽しんでいました。

★★★★

マールとジャスパーの
ごちそうをさがせ

ローラ・ランキン 作
いしづ ちひろ訳

BL出版 2000.5

 アンがお絵かきで描いたマール(ねこ)とジャスパー(いぬ)が、おなかをすかせて、絵から飛び出した。いろいろな絵本の中で、ごちそうを探すけれど、じゃまがはいってなかなか食べられない。結局もとのお絵かきの紙に戻ってマールが絵を描く。
 なんとも、発想がユニークで夢があるお話。ごちそうを探す絵本では「ジャックと豆の木」が出てきたりして、「何の話かな」と考えるのも楽しい。絵がリアルで少し怖い場面もあるけれど、小物まで丹念に描き込んであり魅力的。何度か読んであげないとお話のおもしろさに気がつかなかった子どもも、おもしろさがわかると、自分から読んでと持ってきました。

★★★★

書 名
作者 発行元 初版年

つぶやき 2000.7.1

お薦め度

とびっきりのおはなし

ひろかわ さえこ 作・絵

あかね書房 2000.5

 たんぽぽがわたげになる様子が、かわいらしく、ほのぼのした気分にさせてくれる本。たねたちの飛び出す前のつぶやきが楽しい。たんぽぽの変化がわかりやすく描かれていて、「植物の一生」の話としても十分読み応えがあります。シリーズ本として『ゆっくりのおはなし』もあって、出てくる動物たちの会話に「くすっ」とさせられます。1歳の子どもは動物たちを指さしてニコニコしていました。

★★★

書 名
作者 発行元 初版年

つぶやき 2000.6.21

お薦め度

きょうりゅうのたまご

なかがわ ちひろ 作・絵

徳間書店 2000.4

 きょうりゅうが出てくる絵本は数多いのですが、きょうりゅうがやってくる「ぼくのへや」や、たまごを探して歩く町並みが丹念に描かれていて、細かい発見がうれしい絵本。地面をほって、たまごを探しにいく場面は、がいごつやたからものなど、「冒険心」をくすぐります。水があふれ出てくると「どうするの?お水だらけだよ。」と心配そうな子ども。高いところに登ったぼくをみて、笑っていました。

★★