森 絵都 作品 大特集

2005.11.27更新
・・略・・
2001.8.26UP

この一年ぐらいの間に、一気に森絵都さんのファンになり、全作品制覇を試みました。
少年少女の気持ちを書かせたら、今、最も勢いがある作家の一人だと思います。
「bk1」というサイトで森絵都さんの作品が一覧で紹介され、森さん本人の
コメントが各作品についています。
作家の声が頻繁に聞ける(読める)のも、インターネットの良さですね。
オンライン書店bk1: http://www.bk1.co.jp/s/m/15514/
書名/作者/出版社/出版年 形態 一言コメント
25.いつかパラソルの下で
角川書店 2005.4
小説 大人向けの小説です。父親の死を境にあきらかになる、父の秘密。家族との関係。兄妹や母子の微妙な関係が、じわじわと読者に伝わってきます。知っているようで知らないのが家族の心なのかもしれません。
24.森絵都の本
森絵都への7つの扉
別冊宝島(ムック) 2004.10
解説&エッセー 絵都さんへのインタビュー、全作品ガイド、評論の他、短編・改稿版「ウエルカムの小部屋」収録。あさのあつこさんとの対談もあり。インターネットを使った森絵都アンケート結果も掲載されていて、投稿した自分の意見も入っていました。
23.ぼくだけのこと
作:森絵都 絵:スギヤマカナヨ
理論社 2003.06
絵本 「ぼくだけのこと」ってなんだろう?と思いつつページをめくり、「くすっ」とおかしくなる。そんな絵本です。この本の意味を考えられるのは小学生中高学年からだと思いますが、中学生でも「わかってくれる」本ではないでしょうか?まだ小さい我が子たちは、『ウォーリーをさがせ』的なページをみて楽しんでいました。
22.永遠の出口
森絵都/集英社/2003.03
小説 読み終わって「森絵都作品だな〜」が一番の感想です。主人公の女の子が小学生から高校を卒業するまでの葛藤を描いた作品。多感な10代を過ごしてきた大人はもちろん、同時代を生きている10代に読んでもらい、自分の姿と共感したり反発したり、本からなにかしら感じてほしいと思う。
大人が読んで、10代の記憶を甦らせてくれる筆運びには、本当に脱帽。同じようなことを「感じた」「思った」「会話した」と、いちいち感じ入ってしまいました。
しかし、自分の子どもが思春期になったとき、親としてどう対応するか、なんだか、今から不安になったりするのは・・・無駄でしょうね。
21.DIVE !! 4
 コンクリートドラゴン
森絵都/講談社/2002/08
児童文学 スポ根作品としてのラストは、オリンピック代表選手を決める大会が舞台。前三作品で一人一人を丹念に書き込んでいるだけに、登場人物の思いが、読者にストレートに伝わってきます。「飛び込み」というスポーツを通して、自分自身を見つめ、人生を考え、友を考える少年たちの姿は「青春ドラマ」。大きく成長する、それぞれの少年たちの今後が楽しみになる完結編です。
20.おやゆびひめ
ハンス・クリスチャン・アンデルセン 作
南塚直子 絵/森 絵都 訳
白泉社/2001.11
翻訳絵本 『月刊MOE』に掲載された「おやゆびひめ」が単行本として発行されたもの。ストーリーは正統派の「おやゆびひめ」の物語りなので、森さんの訳については特別目新しさがあるわけではない。画家の南塚さんの銅版画特有の線の細さや、きれいさが魅力。アンデルセン童話は、子どもの頃読んで以来、手に取ったことがなかったけれど、少女の心をくすぐるストーリーは「さすが」。
19.DIVE !! 3
SSスペシャル’99
森絵都/講談社/2001/07
 児童文学 1巻の知季、2巻の飛沫(しぶき)に続き3巻目は要一が主人公。がむしゃらで幼さが残る知季の話から、アウトロー的な飛沫の2巻でイメージがガラッと変わった「DIVE !! 」は、3巻めでまた正統派の流れに戻ったようです。オリンピックという大人社会のご都合主義に飲み込まれそうになりながらも、少年の一途さで自己主張する様は読んでいて心地よく、爽やかな読後感でした。
18. あいうえおちゃん
森絵都 文/荒井良二 絵 /理論社 2001/06
ことばあそび本 (小学低学年向き) 『あかるいあのこはあいうえおちゃん。(略)
へんてこにほんごえほんです。』
作家の方々って、こういうことば遊びが好きなのでしょうね。私の印象としては「はぁ、へんな本」で終わってしまいそうですが、このくだらなさ?!が好きと言う読者もいるかも。無理にこじつけたようなセリフに血のにじむような努力の跡を感じます。(森さんごめんなさ〜い。)荒井さんの絵とはぴったり。
17. にんきものをめざせ!(にんきものの本 )
森絵都/絵 武田美穂 /童心社 2001/04
児童書 かなえはけいたが好き。でも、世の男はかよわいおんなが好きだという。かなえはアイドルをめざすが・・・。
『にんきもののはつこい』と対になっている本。小学生の話でありながら、男女のことを言い当てていて、恋する乙女の心情がみえる。クスクス笑いながら一気に読めます。
16. にんきもののはつこい(にんきものの本 )
森絵都/絵 武田美穂 /童心社 2001/04
児童書 『わたしのしょうらいのゆめは、ましょうのおんなになること。
あいだとか、こいだとか、そんなもん、いちもんのとくにもならないとおもっていたけれど…。』
冷めた小学生って必ずいるよね。森絵都さんは、ほんと小学生の生態(?)をよく知っていると思う。小さいながらも大人の世界をみて健気に頑張る「きさらぎさん」。通じ合える友達ができてよかったです。
15. DIVE !! 2
 スワンダイブ
森絵都 /講談社 2000/12
児童文学 Diveの続編。でも主人公が代わっている。森さんの本の特徴だけれで、主人公の相手役が次の本では主人公になっている。多分、森絵都さんは誰でもが主人公になり得ると考えていて、そうしたいのでしょう。前作のスポコン的内容から、主題も少し変わった。10代の抱える悩みが盛りだくさん。
14. ショ−ト・トリップ
文 森絵都/絵 長崎訓子 /理論社 2000/06
短編集
(中学生以上)
毎日中学生新聞に連載されていた「旅」をテーマにした短編集。これは、子ども向けというより、ウィットがわかる大人に読んでほしい本。「くすっ」と笑ったり、「変な話」と内心でつぶやいたりしながら、ひととき旅の匂いを感じることができます。『注文のいらないレストラン』というお話は、旅人がふるさとの懐かしい料理を味わうことで、旅をやめて帰る気になるというもの。短い文章だけれど妙に納得できました。
13. DIVE !! 1
前宙返り3回半抱え型 )
森絵都 /講談社 2000/04
児童文学 『日本ではまだマイナースポーツの水泳競技『飛込み』。
学園生活を送りながらダイビングクラブに通い、オリンピックをめざしはじめた少年ダイバーたちをドラマチックに描く。』(紹介文より)森作品にはめずらしいスポーツもの。今までの作品とは違って、男の子が主人公。オリンピックの選手を育てるための社会的背景も描かれていて、発行時期的に見てもシドニーオリンピックと重ね合わせて読めた。
12.ありがとうがいっぱい
森絵都 他/フォア文庫 1999/10
短編集
(児童書)
後藤竜二・落合恵子・村上康成などの作者が、短編や詩などを「ありがとう」をテーマに書いている本。森絵都は『郵便やさんありがとう』。家族としてバラバラだった一家が、隣家と競うことで会話を取り戻していく。重いテーマをユーモアタッチの話に仕上げてしまうところに、作者の個性を感じる一篇。
11. 永い夜
作 ミシェル・レミュ−/翻訳 森絵都 /講談社 1999/05
大人向け
絵本
「眠れない」夜に考えること。「この世で最初の人間。こういう形に作ったのはだれ?」「「人生って最初から決められているもの?」といった、答えが簡単には見つからない問いかけが、シンプルな線で描かれた絵と共に次から次へと繰り広げられる。ページをめくるごとに、読者も考え込んでしまいそうです。絵本を読んでも答えは見つからないのですが、ふっと自分を見つめなおす機会を与えてくれる本です。
10. にんきもののねがい(にんきものの本 )
森絵都/絵 武田美穂 /童心社 1998/10
児童書 『ほかのともだちにはあだながあるのに、なんでぼくだけこまつくん?ぼくがかわれば、みんなもかわるはず。イメージ・チェンジさくせんのはじまり。』
『にんきもののひけつ』と対の作品。2冊を一緒に読むと、二人の主人公のそれぞれの悩みがわかり、より楽しめる。他人からうらやましがられている子どもにでも、悩みがあるんだという、あたりまえのことに気づかせてくれる。
9. にんきもののひけつ(にんきものの本 )
森絵都/絵 武田美穂 /童心社 1998/10
児童書 『おなじクラスのこまつくんは、チョコレートを二十七こもらった。ぼくはたったいっこだけ。ぼくはこまつくんの、にんきもののひけつをさぐることにした。』
普通の子どもが「にんきものの」の友だちをうらやましく思い、何が自分と違うのか探る。クスっと笑ってしまうシーンばかりで、単純に楽しめる。
8. カラフル
森絵都 /理論社 1998/07
産経児童出版文化賞
児童文学 死んだはずの自分のところに天使がやってきて、もう一度現世に戻ってきた主人公。記憶がないまま、自分探しの毎日となる。
一度死んだ人間が戻ってくる話は昔からいくつかあると思うけれど、今の思春期の子どもが抱えている問題や、家族の問題が盛りだくさんの話。ほんの少し、まわりが見えるようになった主人公にホッとする。
7. つきのふね
森絵都 /講談社 1998/07
野間児童文芸賞
児童文学 万引きをきっかけに親友「梨利」と離れてしまった「さくら」。さくらたちにつきまとう同級生の「勝田君」と、やさしいけど心の病気の「智さん」。4人が「均衡」を取り戻すために「つきのふね」がおりてくる小学校の屋上へ向かう。『ぼくわ小さいけどとうといですか。』という手紙の文面が胸に響く。
6. ア−モンド入りチョコレ−トのワルツ
森絵都/絵 伊勢英子 /講談社 1996/10
路傍の石文学賞
児童文学
(短編集)
シューマン「子供の情景」、バッハ「ゴルドベルグ変奏曲」、サティ「童話音楽の献立表」。三つのピアノ曲の調べから、三つの物語がうまれた…。
この本を読んだ後にはクラッシクを聴きたくなる。10代の揺れる心を思い出して、懐かしいようなむずがゆい気分になってしまう。伊勢英子さんの絵も繊細な心を描いていて雰囲気がピッタリ。
5. 流れ星におねがい(童心社のジョイブックス )
森絵都/絵 和歌山静子 /童心社 1995/10
児童書 用務員のおじさんとのふれあいを通して、友だちと力をあわせることを学んでいく。今の時代、こんなふうに、見守ってくれる大人が近くにいるといいなと、思わずにはいられない。
4. 宇宙のみなしご
森絵都 /講談社 1994/11 野間児童文芸新人賞
産経児童出版文化賞ニッポン放送賞
児童文学 『一番しんどいときは、一人で切りぬけるしかない。でもそこに手をつなぐ人が入れば・・・。陽子とリンの秘密の遊び、真夜中の屋根のぼりに仲間が加わる。』 友達の力の大きさを感じられる本。必死でつっぱって生きている陽子にエールを送りたくなる。やはり、中学生ぐらいの、これから友達を作って増やしていける世代に、ぜひ読んでほしい。
3. いちばんめの願いごと
森絵都 /大和書房 1993/03
エッセー集 森絵都さんが、こんなエッセー集を出していたとは、つい最近まで知らなかった。恋愛を中心とした「個人的な記録」が中心ですが、等身大の森さんをかいま観ることができる。
この本を読んで、自分とほぼ同年齢で、更に同時代を生きていた証というべき自分が知っているエピソードが書かれていて、自分も8年前にタイムスリップした気分でした。
2. ゴ−ルド・フィッシュ
森絵都 /講談社 1991/11
児童文学 『新宿へいってしまった真ちゃん、いつのまにか大人びてきたテツ、そして、高校受験をひかえ、ゆれるさゆき。三人の〈リズム〉のゆくえは―。』
『リズム』の続編。この話で一番印象に残っているのは、さゆきが悩みを忘れるために一心不乱に勉強して高校に受かってしまうところ。話の本流とは違うけれど、10代の一直線な気持ちの表れを感じる。
1. リズム
森絵都 /講談社 1991/05 講談社
児童文学新人賞 椋鳩十児童文学賞
児童文学 『小さいころから大すきだったいとこの真ちゃんの家族が、ばらばらになってしまうかもしれないと知った、さゆきは…。』
多感な10代の少年少女たち。とうにそんな時代を過ごしてしまった身には、なんだか、くすぐったい気分になる。やはり、同世代が同時進行に読んでほしい気がする本。「心のなかで、リズムをとるんだ」というセリフが印象的。そのセリフには、今の自分でも共感できる。
<形態めやす>
 児童文学:10代から大人向け
 児童書:一人で読むには小学生から
『』内は本の紹介文からの引用部分。